ラブ トランジット 35+考察|好きなのにすれ違うのはなぜ?恋愛心理学で読む

こんにちは、ゆうです。

『ラブ トランジット 35+』の配信が始まりましたね。

今回は第1〜3話の公式あらすじに触れます。本編を視聴したレビューではなく、公開情報をもとにした恋愛心理学の考察です。

35歳以上の元恋人たちが再会し、新しい出会いも重なる今回のラブトラ。[4]私が考えたいのは、誰と誰が結ばれるかだけではなく、「人は、相手の気持ちをどんなふうに受け取っているのか」ということです。

一緒に過ごした時間があっても、好意を持っていても、気持ちがぴったり重なるとは限らない。「あの人のことはわかっている」という感覚の中に、今の相手には確かめていない期待が入っていることもあります。

この視点で、第3話の紹介にある三つの出来事を考えてみます。

好きという気持ちは相手の見え方にも混ざる

公式あらすじでは、ヒロヨシが、ある女性の冷たい態度を自分に甘えているのだと受け取る様子が紹介されています。[1]

同じ態度でも、「自分には気を許している」と読む人もいれば、「距離を置きたいのかな」と読む人もいる。ここで気になるのは態度そのものだけでなく、そこにどんな意味を足しているのか、なんですよね。

心理学者のLemayとClarkの研究では、自分が相手を思いやる気持ちが、相手も自分を思いやっているという受け止め方に投影されうることが示されています。実験や友人・配偶者との関係を調べた研究からの知見です。[2]

つまり、相手の心を読んでいるつもりでも、自分の心が少し混ざっている可能性がある。

もちろん、この研究だけでヒロヨシの心理は説明できません。ただ、「自分が感じた親しさ」と「相手が示した親しさ」を分けて考える手がかりにはなります。

図解 1「見たこと」と「意味づけ」を分ける
① 見聞きしたこと相手が言ったこと・したこと
② 自分の願い・過去の記憶「親しく思ってくれているはず」
③ 自分なりの解釈「きっと、こういう意味だ」
≠ 相手の本当の気持ち
大切にしたいこと解釈だけで決めず、今の言葉を聞く。
断りや距離を求める意思は尊重する。

本文[2]を手がかりにした説明用の概念図です。自分の気持ちが解釈に混ざる可能性を示すもので、必ずこの順に起こるという法則や、出演者の心理診断ではありません。

私たちの恋愛でも、「きっと照れているだけ」「前はこうだったから」と思うことはありますよね。その解釈が支えになることもあるけれど、相手の今の言葉を聞き直す余地は残しておきたいところです。

とくに、相手が断ったり距離を求めたりしたときは、好意の裏返しだと読み替えず、その意思を尊重したい。想像で答えを出すより、言葉と行動がどう重なっていくかを見ていくほうが、お互いの気持ちを置き去りにせずにすみそうです。

優しさに込めた意味は同じとは限らない

かなこについては、X(元恋人)を誘ったあとの食事の準備と、Xが別の女性とのデートに出かける展開が紹介されています。[1]

この出来事から考えたいのは、「何かをしてあげること」に、どんな意味が込められているのかという点です。

食事を用意する行動ひとつにも、「喜んでほしい」「一緒に過ごしたい」「いつものように接したい」など、いろいろな意味がありえます。これは一般的な例で、かなこの動機を決めつけるものではありません。

そして、する側が込めた意味を、受け取る側が同じように理解するとも限らないんですよね。親しい間柄ほど、説明しなくても伝わると思いたくなるけれど、以前の二人と今の二人では、関係への期待が変わっているかもしれません。

ここで、「優しくしたのだから選んでほしい」と受け取ったり、逆に「期待するほうが悪い」と片づけたりするのは、少し急ぎすぎな気がします。気遣いをすることと、これからどんな関係になりたいかを伝えることには、それぞれ別のやり取りが必要だからです。

たとえば日常なら、何かを準備する前に「一緒に食べるつもりでいるけれど、どうかな」と聞いてみる。小さな確認でも、自分の期待と相手の予定をすり合わせる機会になります。

図解 2「優しさ」と「約束」は別のやり取り
する側の期待(例)一緒に食べたいから
食事を用意した
受け取る側の理解(例)親切はうれしい。
でも、一緒に食べる約束は
していないと思っていた
同じ行動でも、意味は一致しないことがある
言葉でつなぐ「一緒に食べるつもりでいるけれど、どうかな?」

日常のすれ違いを整理するための架空例です。番組で実際に交わされた会話でも、出演者の動機を示す図でもありません。確認の言葉は本稿の提案で、研究で効果を検証した介入ではありません。

この先を考察するときも、親切の多さを恋の点数にするより、二人が何を期待し、それをどう伝え合うのかに注目したいです。

いつものタイプの外で見えてくるもの

一方、ようこは、これまで交際したことのないタイプの男性とデートする、と紹介されています。[1]

「私はこういう人が好き」と思っていても、実際に話すと、想像していなかった人が気になる。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。

Eastwickらの研究では、プロフィールを読む段階では自分の理想に合う相手への関心が強まった一方、実際に対面で交流したあとには、その理想との一致による差が認められなくなった実験結果が報告されています。[3]

理想の条件を頭の中で並べることと、目の前の人に惹かれることは、必ずしも同じようには進まないんですね。

だからといって、違うタイプを選べばうまくいく、という話ではありません。同じ論文には、すでに交際している相手への評価と、全体的な理想との一致が関連するという結果もあります。理想が無意味なのではなく、関係の段階や相手を知る方法によって、その働き方が違うと読むのがよさそうです。

図解 3「条件」と「実際の交流」を両方見る
会う前に考えること理想の条件・いつものタイプ
会って初めてわかること会話の心地よさ・やり取りの感覚
両方を見ながら考える惹かれる気持ちと、
大切にしたい価値観を確かめる

理想が無意味になるわけでも、
違うタイプなら成功するわけでもない。

本文[3]を手がかりにした考察の整理図です。「+」は二つの視点を表し、数値の足し算・効果量・成功率ではありません。研究結果そのものを再現したグラフではありません。

ようこの紹介からは、「自分の好みを守れるか」よりも、「実際に話して感じたことを、どう受け止めるか」という問いが浮かびます。

条件だけでは気づかなかった心地よさがあるかもしれない。反対に、会話が楽しくても、暮らし方の希望は合わないかもしれない。新しい相手への関心を持ちながら、自分が大切にしたいことも少しずつ確かめていく。その過程に、恋愛の面白さがあるように思います。

過去を知っていても今の気持ちは聞き直せる

元恋人には、共有してきた時間があります。新しい相手には、まだ知らない部分があります。どちらを選ぶかの前に、今、目の前にいる人とどんなやり取りができるのか。今回の公開情報から、私はそこを考えたくなりました。

相手への親しさが、自分の解釈を支えていることもある。優しさに込めた期待が、まだ言葉になっていないこともある。そして、自分が思っていた好みが、出会いの中で変わることもある。

誰かを「こういう人」と決めるより、気持ちがどう伝わり、どこですれ違い、どう確かめ直されるのかを追っていきたいですね。

私たちも、相手の気持ちがわからなくなったとき、すぐに正解を出さなくて大丈夫。「私はこう思っていた。あなたはどう?」と聞き直せる余白を、少し残しておけたらと思います。

大丈夫、無理せず一緒に一歩ずつ前に進んでいこう。

参考資料

[1]Prime Video『Love Transit 35+ シーズン1』エピソード紹介

[2]Lemay, E. P., Jr., & Clark, M. S.(2008)How the head liberates the heart: Projection of communal responsiveness guides relationship promotion. Journal of Personality and Social Psychology, 94(4), 647–671. DOI: 10.1037/0022-3514.94.4.647

[3]Eastwick, P. W., Finkel, E. J., & Eagly, A. H.(2011)When and why do ideal partner preferences affect the process of initiating and maintaining romantic relationships? Journal of Personality and Social Psychology, 101(5), 1012–1032. DOI: 10.1037/a0024062

[4]アマゾンジャパン合同会社『ラブ トランジット 35+』配信決定の公式発表(2026年9月2日)

公式情報の確認日:2026年10月27日。出演者の内心を断定するものではありません。食事前の確認などの行動例は本稿の提案であり、引用研究で効果を検証した介入ではありません。

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